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SESの待機とは?給与は全額か60%か・クビ・会社側の負担まで

SESの待機とは、エンジニアが今の現場の契約を終えて、次の案件が決まるまで、どのお客様先にも入っていない期間のことです。自社に出社して待つ「社内待機」と、自宅で待つ「自宅待機」があり、どちらになるかで給与の扱いが変わります。このページでは、待機中の給与、待機が長いとクビになるのか、待機になる原因と対策、待機中の過ごし方を先に整理し、後半でSES会社の側から見た待機の負担と、案件が切り替わる月の請求の話を書きます。

SESの待機とは

SESでは、エンジニアはSES会社に雇われたまま、お客様先と結んだ準委任契約の期間だけ現場に入ります。契約が終わってから次の現場に入るまでの間が待機です。待機には大きく分けて次のような場合があります。

  • 今の現場の契約が終わったのに、次の現場が決まっていない
  • 次の現場は決まったが、開始日が先で、間が空いている
  • 入社したばかりで、まだ最初の現場が決まっていない

案件の終了はおよそ1か月前にわかることが多く、その間に営業が次の案件を探すので、待機があっても長くは続かないことが多いです。ただ、待機期間の平均を国がまとめた統計はなく、どのくらいで決まるかは会社の案件の数や営業の力によって大きく違います。

待機中の給与はどうなるか

待機中の給与は、その期間が「働いている扱い」か「休業の扱い」かで変わります。

待機の形扱い給与の考え方
社内待機(出社して研修や社内業務をする)勤務働いている時間なので、通常の賃金が払われる
自宅待機でも、課題や研修、日報の提出などの指示がある勤務と見られることがある実態によっては通常の賃金の対象になる
自宅待機で、会社から何も指示されていない会社都合の休業少なくとも平均賃金の60%以上の休業手当(労働基準法26条)

労働基準法26条は「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない」と定めています。次の案件を取ってくるのは会社の仕事なので、案件がなくて休ませる場合は、この会社都合の休業に当たると考えられています。ここでいう平均賃金は、原則として、休業の前3か月間に払われた賃金の総額をその期間の総日数(暦日数)で割った額です(労働基準法12条)。暦日で割るので、月給の60%よりも少なくなることがあります。

また、民法536条2項は、債権者(ここでは雇う側)の責めに帰すべき事由で債務を履行できなくなったときは、債権者は反対給付の履行を拒めないと定めています。会社の責任で働けなかった場合に、休業手当を超えて賃金の全額を求められるかどうかは、就業規則や雇用契約の定め、待機になった事情によって判断が分かれます。

待機中は、全額を払う会社もあれば、休業手当として60%以上を払う会社もあります。全額を払う代わりに、賞与の査定で待機の期間を考慮する会社もあります。入社のときに、雇用契約書や就業規則、賃金規程で待機の扱いを確かめておくのが確実です。

「待機中は無給」は認められるか

雇用が続いていて、待機が会社の都合によるものなら、無給にすることは労働基準法26条の休業手当の義務に反するおそれが高いと言えます。一方で、「案件が決まったら入社」という形でまだ雇用が始まっていない場合や、フリーランスとして業務委託で契約している場合は、そもそも雇用関係がないので、稼働がなければ報酬が出ないこともあります。

手取りは60%より少なくなることがある

休業手当も賃金として扱われるので、所得税の対象になります。社会保険料は標準報酬月額をもとに決まっているので、支給額が下がってもすぐには変わらず、住民税も前年の所得で決まっています。そのため、休業手当が60%でも、手取りはそれより大きく下がることがあります。

待機が長いとクビになるか

待機が長いことだけを理由に解雇されることは、基本的にないと考えられています。労働契約法16条は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています。次の案件が取れないのは、多くの場合、本人ではなく会社の営業や市場の事情によるので、それだけでは解雇の合理的な理由にはなりにくいからです。

ただし、待機が長く続くと、退職をすすめられたり、配置転換や条件の変更を持ちかけられたりすることはあります。契約社員のように期間の決まった雇用では、更新されないこともあります。会社の経営が大きく悪化した場合の人員整理は、別の基準で判断されます。

待機になる原因と対策

待機になる主な原因を、エンジニアの側と会社の側に分けて整理します。

原因どちらの側対策
求められる技術と自分のスキルが合わないエンジニア需要のある技術を学ぶ。学ぶ技術は将来のキャリアに合わせて選ぶ
面談でうまく伝えられないエンジニアスキルシートを最新にする。想定される質問と逆質問を準備する
条件にこだわって案件を断り続けるエンジニア勤務地・単価・技術の優先順位を決め、譲れる条件を決めておく
年齢や経験年数に対してスキルが見合わないエンジニア経験を整理し、強みを説明できるようにする
会社の取引先が少なく、案件の数が少ない会社個人では解決しにくい。長く続くなら案件の多い会社への転職も考える
お客様の予算削減やプロジェクトの打ち切りで、急に契約が終わった会社・お客様営業と早めに次の希望を共有する
入社直後で最初の案件が決まらない両方研修の期間に案件の準備を進める

面談の結果を聞くと、技術だけでなく、話し方や人柄も見られていると感じる場面が多いようです。また、短い期間で現場を抜けた人ほど次の案件が決まりにくいという声も、社長の方からよく伺います。経歴書に短期間の案件が続いていると、受け入れる側が慎重になるためです。

待機中の過ごし方

待機の期間は、普段は取りにくいまとまった時間でもあります。おすすめの過ごし方は、おおむね次のとおりです。

  • スキルシート(職務経歴書)は、直近の現場で使った技術、担当した工程、役割を時系列で整理しておきます。課題、取った行動、結果の順に書いておくと、面談で話しやすくなります。
  • 学習なら、クラウドやモダンなフロントエンドなど、案件の多い分野が候補になります。基本情報技術者や応用情報技術者などの国家資格、クラウドのベンダー資格は面談で評価される場合があり、個人で作ったものを公開しておくのも実力を示す材料になります。
  • 次の現場で何をしたいか、どこまでなら条件を譲れるかは、営業や上司にはっきり伝えておきます。紹介された案件の中身を事前によく確認することも大切です。
  • 今の会社で目指す方向に進めているかを考え直す機会にもなります。副業が認められている会社なら、技術を生かした副業を考える人もいますが、始める前に就業規則を確かめてください。

SES会社から見た待機の負担

ここからは、SES会社の側の話です。待機は、会社にとっては売上がない状態で人件費だけがかかる期間です。

待機1人あたりにかかるもの

社内待機で全額の給与を払う場合も、自宅待機で休業手当を払う場合も、会社が払う社会保険料は続きます。社会保険料は標準報酬月額をもとに決まるので、待機で支給額が下がっても、すぐには下がりません。たとえば標準報酬月額が30万円の社員なら、厚生年金保険料(料率18.3%を会社と本人で半分ずつ負担。厚生年金保険法82条)の会社負担だけで月27,450円になります(出典:日本年金機構「厚生年金保険料額表」の料率から計算)。これに給与(または休業手当)、健康保険料などの会社負担、通勤や研修の費用が加わり、その間の売上はありません。

社労士の方から、待機させるなら休業手当が要ると指摘されたという話はよく伺います。定年を長く設けている会社では、年齢が上がって次の案件が決まりにくくなったときに待機が長引くことが、いちばんの心配だと伺います。

待機を減らすために会社がしていること

待機を減らすには、今の案件が終わる前に次を決めておくことが欠かせません。契約の終了は1か月前に知らせるルールになっていることが多いので、その1か月の間に次の面談を組めるかどうかが勝負になります。複数人で入っている現場は、1人だけの現場より終了させられにくいという声もよく伺います。

案件は月初に始まるものが多いので、今の現場の終了日を月の途中ではなく月末にそろえるよう、上位の会社と調整したという話もあります。月の途中で終わると、次の月初までの数日から数週間が待機になってしまうからです。

案件が切り替わる月の請求

待機の前後、つまり案件が終わる月と、次の案件が始まる月は、請求の事務がふだんの月と変わります。

時期ふだんと変わる事務
案件が終わる月月の途中で終わったときの日割りか精算、最終月の精算幅の扱い、最後の稼働表の回収、BP・フリーランスからの最終の請求書の照合
待機中お客様への請求はないが、給与や休業手当の計算は続く
次の案件が始まる月新しい注文書の単価・精算幅の確認、月の途中から入ったときの日割り、請求先と書式の変更

月の途中で終わったり始まったりすると、その月の報酬を日割りにするか、稼働時間で精算するか、精算幅を日数に応じて縮めるかは、注文書ごとに決め方が違います。日割りでも、暦日で割るか営業日で割るかで金額が変わります。最終月はエンジニアが現場を離れているので、稼働表の回収が遅れやすく、請求書を出すのが遅れる原因にもなります。

BPのエンジニアの場合は、上位の会社との契約が終わる日と、自社がBPに出している注文書の終了日がそろっているかも確かめる必要があります。ずれていると、上位には請求できないのにBPには払う日が残ることがあります。月の途中の精算については → SESの精算幅 で、請求書の作り方は → SESの請求書 で詳しく書いています。

待機中の給与や解雇の扱いは、雇用契約や就業規則、待機になった事情によって判断が変わります。個別のケースは、社会保険労務士や弁護士などの専門家に確認してください。

切り替わる月の請求を任せたいときは

RY consulting は、SES会社の請求事務だけを引き受けています。お客様先への請求書の作成(御社の書式で)、BP・フリーランスからの請求書の照合(相違があったときだけお知らせします)、稼働表の提出状況のお知らせ(営業担当ごと)、月に一度の確認事項(入場・終了・単価変更)の確認を行います。御社にお願いするのは、稼働表と請求書を共有フォルダに入れていただくことと、月1回の確認事項へのご回答だけです。料金は月額でエンジニア10名まで50,000円、11〜20名70,000円、21〜30名90,000円、31名以上は個別のお見積り(いずれも税別)、初期費用は100,000円(税別)です。契約期間の縛りはなく、最短3営業日で作業を始められます。入場・終了の多い月の請求をどう回すか、まずは15分で相談してみてください。

出典

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