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SESの請求書の書き方|明細・超過控除の計算例とサンプル

SESの請求書とは

SESの請求書とは、注文書で決めた月額単価に、その月の稼働時間による超過・控除や月途中の日割りを足し引きした金額を、毎月お客様先へ請求する書類です。書く項目は一般の請求書と変わりませんが、同じお客様、同じエンジニアでも月ごとに金額が変わることと、その金額の根拠として稼働表(作業報告書)が必ずついて回ることが、SESならではの違いです。

請求書は単独で作るものではなく、契約から請求までの書類の流れの最後に来ます。

書類誰から誰へ何を示すか
見積書SES会社 → お客様先月額単価、精算幅、精算方法の提示
注文書・注文請書お客様先 ⇄ SES会社契約期間、単価、精算条件の確定
稼働表(作業報告書)エンジニア → SES会社 → お客様先その月に働いた時間
請求書SES会社 → お客様先その月の請求金額と内訳

請求書の数字は、注文書の条件と稼働表の時間から計算して出すものなので、どちらかが手元にないと正しい請求書は作れません。契約の中身は → SES契約書 と → SESの準委任契約 で書いています。

請求書に書く項目

請求書に法律で決まった様式はありませんが、お客様先が仕入税額控除を受けられるよう、インボイス(適格請求書)の記載事項を満たして出すのが今の基本です。国税庁が示している記載事項は次の6つです(出典:国税庁「インボイス制度の概要」)。

  • 適格請求書発行事業者の氏名または名称と登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

SESの請求書では、これに実務で必要な項目を加えて、次のような形にするのが一般的です。

項目書き方の例インボイスの記載事項か
宛名株式会社〇〇 御中(契約書どおりの正式名称)該当
発行日2026年10月31日―
請求書番号202610-C015-01―
発行者の名称・住所自社名、所在地該当(名称)
登録番号T+13桁該当
件名2026年10月分 システム開発支援―
対象期間2026年10月1日〜10月31日該当(取引年月日)
明細要員ごとの月額、超過・控除、日割、交通費該当(取引内容)
税率ごとの小計と消費税額10%対象 〇〇円、消費税 〇〇円該当
請求金額(税込)〇〇円―
支払期限2026年11月30日―
振込先銀行名、支店名、口座種別、口座番号、名義―
備考精算条件、稼働表に基づく精算である旨―

対象期間は、1日ずつの日付ではなく「10月1日〜10月31日」のように月単位で書けば足ります。宛名は、契約している会社と請求書を送る先(経理部や別の担当者)が違うことがよくあるため、取引を始めるときに送り先まで確かめておくと、毎月迷わずに済みます。

消費税の端数処理には決まりがあり、1枚の適格請求書につき、税率ごとに1回だけ端数処理をします。要員ごとに消費税を計算して足し上げるやり方は認められていません(出典:国税庁 インボイスQ&A 問57、タックスアンサー No.6371)。切り上げ・切り捨て・四捨五入のどれを使うかは自社で選べます。

明細の書き方

SESの明細は、要員ごとに行を分けるのが基本です。お客様先の現場の担当者は「誰が何時間働いて、いくらになったか」を確かめたいので、合計だけの請求書や「その他」でまとめた行は差し戻しのもとになります。

行の並べ方は次の順にすると読みやすくなります。要員ごとに月額の行を1行置き、上限を超えた月はその下に超過精算の行、下限に届かなかった月は控除精算の行を置きます。控除はマイナスの金額で書きます。月の途中で入場・退場した要員は、月額の行に日割りの日数を書きます。交通費のように要員の作業と別に請求するものは、要員の行の後にまとめます。最後に税率ごとの小計、消費税、合計を書きます。

単位は、同じ種類の行で揃えます。

行の内容単位書き方の例
月額の作業人月1人月 × 700,000
超過・控除時間6.5時間 × 3,888
日割り式1式 × 314,285(内容欄に「11日/21日」)
交通費式1式 × 15,400

内容欄に「186.5h−180h」のように計算式を書いておくと、お客様先が稼働表と照らし合わせやすく、問い合わせが減ります。15分単位で精算する契約なら、時間は0.25刻み(6.25時間など)で書きます。

要員が3名を超えるあたりから、1枚目は合計と支払期限・振込先だけにして、要員ごとの内訳を別紙にする形が見やすくなります。別紙にするときは、本体と別紙に同じ請求書番号を入れ、「1/2」「2/2」のようにページ番号を振り、別紙の合計と本体の請求金額を必ず一致させます。登録番号、税率、税率ごとの消費税額は本体に書いておくと確実です。

超過・控除・日割りの計算例

精算幅のある契約では、稼働時間が上限を超えた分を足し(超過精算)、下限に届かなかった分を引きます(控除精算)。よく使われる上下割では、超過の時間単価は「月額÷上限時間」、控除の時間単価は「月額÷下限時間」で出します。中間割など他の割り方は → SESの精算幅 で詳しく書いています。

ここでは、2026年10月分の請求で、次の3名をお客様先1社に出している例で計算します。精算は上下割、時間単価と金額は1円未満切り捨て、精算単位は30分とします。

要員月額精算幅10月の実稼働備考
Aさん(自社社員)700,000円140〜180h186.5h―
Bさん(BPの要員)650,000円140〜180h132h―
Cさん(自社社員)600,000円日割、精算なし―10月16日入場

Aさんは上限を6.5時間超えています。超過単価は700,000円÷180時間=3,888.88…円で、切り捨てて3,888円です。超過額は3,888円×6.5時間=25,272円になります。

Bさんは下限に8時間足りません。控除単価は650,000円÷140時間=4,642.85…円で、切り捨てて4,642円です。控除額は4,642円×8時間=37,136円で、明細にはマイナスで書きます。

Cさんは10月16日の入場です。2026年10月は平日が22日あり、スポーツの日(10月12日)を除くと営業日は21日です。16日から月末までの営業日は11日なので、600,000円×11日÷21日=314,285.71…円で、切り捨てて314,285円です。日割りを営業日で計算するか暦日で計算するかは契約によって違うので、注文書の定めに合わせます。

交通費は、契約で実費を請求できることになっている場合だけ請求します。Cさんの定期代が税込16,940円だったとすると、明細には税抜の15,400円を書き、消費税は請求書全体でまとめて計算します。交通費は税込で払っていることが多いので、税込のまま足してしまい、消費税を二重にかけるミスが起きやすいところです。社長の方からよく伺うお話で、交通費を税込から税抜と消費税に分ける計算を何度も間違えてしまい、請求書の名義は社長なので取引先からは社長のミスと受け取られた、という声があります。

SESの請求書のサンプル

上の計算をそのまま請求書にすると、次のようになります。

上の部分

項目記載
宛名株式会社〇〇 御中
件名2026年10月分 システム開発支援 ご請求書
請求書番号202610-C015-01
発行日2026年10月31日
発行者株式会社△△(所在地)登録番号 T1234567890123
対象期間2026年10月1日〜2026年10月31日
支払期限2026年11月30日

明細

内容数量単位単価金額
システム開発支援(Aさん)10月分1人月700,000700,000
超過精算(Aさん)186.5h−180h6.5時間3,88825,272
システム開発支援(Bさん)10月分1人月650,000650,000
控除精算(Bさん)140h−132h8時間4,642−37,136
システム開発支援(Cさん)10月分 日割11日/21日1式314,285314,285
交通費(Cさん 定期代・実費)1式15,40015,400
小計(10%対象)1,667,821
消費税(10%)166,782
請求金額(税込)1,834,603

小計は700,000+25,272+650,000−37,136+314,285+15,400=1,667,821円です。消費税は1,667,821円×10%=166,782.1円で、請求書全体で1回だけ切り捨てて166,782円、合計は1,834,603円になります。

備考欄には「精算条件:140〜180時間、上下割、1円未満切り捨て、30分単位」「稼働表に基づく精算です」と書いておくと、受け取った側の経理が現場に確認しなくても金額の理由がわかります。振込手数料をどちらが負担するか、支払期限が金融機関の休業日に当たるときの扱いは、基本契約書の定めに合わせて書きます。

請求書のひな形(Excel)をダウンロード

上のサンプルと同じ項目のひな形です。記入例(エンジニア3名)と空のひな形の2枚で、超過・控除は精算幅の計算機と同じ式(端数は1円未満切り捨て)で計算します。

見積と請求額がずれる原因

SESでは、見積書の金額と毎月の請求額が違うのは珍しいことではありません。見積書の金額は「基本の月額」で、請求額はそこにその月の精算を足し引きしたものだからです。ずれる原因は、たいてい次のどれかです。

原因何が起きるか確かめる書類
超過精算上限を超えた分が上乗せされる注文書の精算幅、稼働表
控除精算下限に届かず差し引かれる(祝日の多い月、有給を取った月に多い)注文書の精算幅、稼働表
日割り月途中の入場・退場で月額が減る注文書の契約期間
交通費・出張費実費が加わる注文書・基本契約書の経費の定め
単価改定新しい単価で計算され、古い見積と合わない最新の注文書・覚書
端数処理・精算単位切り捨てと四捨五入、15分と30分の違いで数円〜数百円ずれる注文書の端数処理の定め
範囲外の追加作業追加分が上乗せされる追加の注文書(事前に必要)

上の表のうち、超過・控除・日割り・交通費は、注文書に条件が書かれていればそのとおりに請求できます。単価改定、端数処理、範囲外の作業は、事前の取り決めがはっきりしていないと「見積と違う」と言われやすいところです。

お客様先から問い合わせが来たときは、注文書の精算条件と、お客様先が確認した稼働表を示して、数字で説明するのが近道です。超過が出た月は、請求書を送る前にメールで「稼働時間、精算幅、超過単価、超過額、請求額」を伝えておくと、経理で止まることが減ります。見積書の段階で精算幅、割り方、精算単位、端数処理、交通費の扱いまで書いておくと、そもそも食い違いが起きにくくなります。

同じ要員について、お客様先との精算条件とBP(協力会社)との精算条件が違うと、請求額と支払額の差、つまり粗利が月ごとに動きます。BPから届く請求書の照合は → SESのBP に書いています。

送る前に確かめること

確認することよくある間違い照らし合わせる先
稼働時間稼働表と1時間ずれる、前月の数字が残っているお客様先が確認した稼働表
単価改定前の単価のまま最新の注文書・覚書
精算の割り方上下割の契約を中間割で計算している注文書
控除の符号マイナスを付け忘れる精算幅と実稼働
日割り暦日と営業日を取り違える注文書
消費税要員ごとに計算して足している、交通費に二重にかけている請求書全体の小計
登録番号・振込先古い口座のまま、番号の誤り自社の登録情報
宛名・送り先契約先と送り先の取り違え取引開始時の確認メモ

超過精算の書き忘れは、そのまま自社が受け取るはずだった売上の取りこぼしになります。作った人とは別の人が見るだけでも、こうした間違いはかなり見つかります。口座を変えたら、請求書の銀行名を見た取引先から問い合わせが来た、という声もよく伺います。振込先を変えるときは、請求書を変える前に取引先へ知らせておくと慌てずに済みます。

請求書の控えは、法人の場合、確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間保存します(青色申告で欠損金が出た事業年度は10年間。出典:国税庁 タックスアンサー No.5930)。メールでPDFを送った場合は、紙に印刷するのではなく、電子データのまま保存します。

SESの会社の請求事務の実際

エンジニアが数名から20名ほどの会社では、社長が月末月初に自分で稼働表を集め、精算を計算し、請求書を作っていることが少なくありません。人数が増えるほど、お客様先ごとに違う精算幅、割り方、締め日、送り先の組み合わせが増え、1件ずつ確かめる手間が積み上がります。

月初の請求が遅れると、その分だけ入金も後ろにずれます。お客様先の支払サイトが翌月末なら、10月分の請求が1日遅れても入金日は変わらないことが多いものの、締め日の後に請求書が届くと1か月まるごと入金が遅れる会社もあります。BPへの支払日が先に来る商流では、その差が手元の資金に直接出ます。商流とお金の流れは → SESの商流 で書いています。

請求書や注文書がメールで届くとき、PDFが添付されてくる会社と、URLからダウンロードする会社が混ざっていて、フォルダへの格納が手作業で遅れがちだという声もよく伺います。格納が遅れると、その後の会計の作業までまとめて止まってしまいます。

請求のやり方の選び方

SESの請求書を作るやり方は、大きく分けて表計算ソフトで作る、請求管理ソフトを使う、外に任せる、の3通りです。

やり方向いている会社よいところ気をつけること
表計算ソフト(Excel・スプレッドシート)エンジニア数名、契約条件がほぼ同じ費用がかからず、すぐ始められる計算式の壊れ、行のコピーで別の契約の条件が混ざる、作った人しか直せない
請求管理ソフト人数が多く、条件の違う契約が多い契約ごとの精算条件を登録して計算させられる、入金管理までつながるものもある初期の登録に手間がかかる、稼働表の回収と照合は自社に残る、料金体系がさまざま
外に任せる社長や営業が請求を兼ねている、担当者が1人で辞められると困る毎月の作成と確認の手間が手元から離れる稼働表を渡す段取りは要る、SESの精算に慣れていない委託先もある

ソフトの料金は製品ごとに大きく違います。たとえば、SES向けの契約・請求管理の機能を出しているIEYASUは、請求書の発行1枚500円、9名以下の会社は9枚まで無料と案内しています(出典:IEYASU株式会社)。ソフトを入れても、エンジニアから稼働表を集めること、届いた稼働表の時間が正しいか確かめること、BPから届いた請求書と突き合わせることは、自社の仕事として残ります。

外に任せる場合の範囲や料金の目安は → 請求書作成代行 にまとめています。単価や粗利の考え方は → SESの単価、→ SESの利益率 もあわせてどうぞ。

税金や契約の扱いで迷う点は、個別の事情によって答えが変わるので、税理士などの専門家に確認してください。

SESの請求事務をまるごと任せたいとき

RY consulting は、SES企業の請求事務だけを引き受けています。お客様先への請求書を御社の書式で作ること、BPやフリーランスから届く請求書を照合して相違があるものだけをお知らせすること、稼働表の提出状況を営業担当ごとにお知らせすること、月に一度、入場・終了・単価変更の確認事項を伺うことが仕事です。御社にお願いするのは、稼働表と請求書を共有フォルダに入れていただくことと、月1回の確認事項へのご回答だけです。月額はエンジニア10名まで50,000円、11〜20名70,000円、21〜30名90,000円、31名以上は個別のお見積りで、初期費用は100,000円です(いずれも税別)。契約期間の縛りはなく、最短3営業日で作業を始められます。月末月初の請求をどうにかしたいと思われたら、まずは15分で相談してください。

出典

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