請求書作成代行とは?範囲・料金相場・選び方とSESの注意点
請求書作成代行とは
請求書作成代行とは、請求書の作成から送付、入金の確認や回収までの作業の一部または全部を、外部の事業者に任せるサービスのことです。自社で操作する請求書発行ソフトが作業を楽にする道具であるのに対して、代行は作業そのものを人ごと外に出す点が違います。
月末月初に作業が集まる請求書の作成と送付を外に出し、社内の担当者を本来の仕事に回すために使われることが多く、経理の担当者がいない小さな会社や、個人事業主でも使えるサービスがあります。
| 請求書発行ソフト | 請求書作成代行 | |
|---|---|---|
| 誰が作業するか | 自社の担当者 | 委託先 |
| 自社に残る作業 | データの入力、作成、確認、送付 | 元になるデータを渡す、確認事項に答える |
| 料金の形 | 月額の利用料、発行件数ごとの料金 | 月額の固定料金、件数ごとの料金、手数料率 |
| 向いている会社 | 担当者がいて、手間だけ減らしたい | 担当者がいない、1人に頼っている |
代行できる範囲
請求書作成代行で任せられる作業は次のとおりです。1社ですべてを引き受けるとは限らず、どこまでを任せられるかはサービスごとに違います。
| 作業 | 中身 |
|---|---|
| 作成 | 渡したデータをもとに、取引先ごとの書式で請求書を作る |
| 発行・郵送 | 印刷、封入、宛名、郵送、またはPDFをメールで送る |
| 入金管理 | 入金を確かめ、請求データと突き合わせて消し込む |
| 督促・回収 | 期日までに入金がない取引先に催促し、代金を回収する |
| 与信 | 新しい取引先の支払い能力を審査する |
| 未回収の保証 | 審査を通った取引先が払わなかったときに代金を保証する |
未回収の保証は、与信の審査を通った請求だけが対象になるのが普通で、回収の手伝いだけで保証のないサービスも混ざっているので、名前だけで判断せず中身を確かめます。
代行の種類
請求書作成代行は、任せる範囲と料金の形で、おおむね3つに分けられます。
| 種類 | 主に任せる範囲 | 料金の形 | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| 発行・郵送の代行 | 印刷、封入、郵送、PDFの送付 | 件数ごとの料金と基本料、郵送は送料の実費 | 請求の中身は自社で決め、送る作業だけ減らしたい |
| 経理・請求書作成の代行 | 請求データの整理から作成、送付、入金の消し込み、督促 | 月額の固定料金(件数や範囲で変わる) | 請求の運用を手放したい、経理の人手が足りない |
| 請求代行・掛け払い | 与信、発行、集金、消し込み、督促、未回収の保証 | 請求額に対する手数料率+件数ごとの手数料 | 未回収を避けたい、新しい取引先を増やしたい |
掛け払いのタイプは、代金の受け取りそのものを代行会社が引き受ける形になるので、取引先に支払い先が変わることを案内する必要が出てくる場合があります。
料金の相場
料金は種類によって形がまったく違うので、同じ種類の中で比べます。各社の公式サイトで確かめられた料金の例は次のとおりです(2026年10月に確認。楽楽明細・i-STAFF・マネーフォワード掛け払いは税別の表示)。
| 種類 | サービス | 初期費用 | 月額 | 件数・取引ごとの料金 |
|---|---|---|---|---|
| 発行・郵送の代行 | 楽楽明細 | 100,000円 | 25,000円〜 | 発行件数やオプションで変わる |
| 経理・請求書作成の代行 | i-STAFF | ― | 81,000円〜114,000円(契約期間による。月30時間から) | ― |
| 請求代行・掛け払い | Paid | 0円 | 0円〜 | 保証料:請求金額の0.5〜3.5%、事務手数料125円/件 |
| 請求代行・掛け払い | マネーフォワード掛け払い(入金保証つき) | 0円 | 0円〜 | 委託金額の0.5〜3.5% |
| 請求代行 | マネーフォワード掛け払い(請求代行プラン) | 0〜5万円 | 0〜3万円 | 300〜500円/件 |
i-STAFFの月額は通常料金で、ライト(3か月契約)114,000円、ベーシック(6か月契約)93,000円、プレミアム(12か月契約)81,000円です。期間限定の割引料金も別に案内されています。
実際の料金は件数や条件で変わるので、見積りを取って比べます。
比べるときは、月額だけでなく、初期費用、件数ごとの料金、郵送料、手数料率を足した1か月の総額で見ます。請求先が少ない会社には件数ごとの料金が安くても月額の最低料金が重くなり、請求額が大きい会社には手数料率が重くなります。
インボイス制度・電子帳簿保存法への対応
任せた先が作る請求書でも、請求書を出す責任は自社にあります。
インボイス制度では、適格請求書発行事業者は、取引先から求められたら適格請求書を交付し、その写しを保存する必要があります。適格請求書には、発行する事業者の名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分した対価の合計と適用税率、税率ごとの消費税額等、交付を受ける事業者の名称を書きます(出典:国税庁「インボイス制度の概要」)。消費税額の端数処理は、1枚の適格請求書につき税率ごとに1回です(出典:国税庁 インボイスQ&A 問57)。委託先の書式で登録番号、税率の区分、消費税額がこのとおりに処理されるかを、最初の月に必ず確かめます。
電子帳簿保存法では、メールやクラウドでやり取りした請求書のデータは、紙に印刷して保存するのではなく、電子データのまま保存します。改ざんを防ぐための事務処理規程を決めて守ること、画面で見られる状態にしておくこと、データを検索できるようにしておくことが求められます。2課税年度前の売上高が5,000万円以下の場合などは、税務調査のときにデータのダウンロードの求めに応じられるようにしておけば、検索の要件は不要とされています(出典:国税庁「電子取引データの保存方法」)。代行先がPDFを送る場合は、送った請求書のデータを誰がどこに保存するのかまで決めておきます。
代行先の選び方
代行先を選ぶときは、次の点を順に確かめます。
- 任せたい作業に過不足なく対応しているか(範囲が広いほど費用は上がる)
- 与信や未回収の保証が要るか、要るならその条件と上限額
- 毎月同じ金額の請求が中心か、毎月金額が変わる請求に対応できるか
- 会計ソフトや今使っている仕組みとデータを受け渡せるか
- 取引先の情報を預けるので、情報管理の体制(プライバシーマークやISMSなど)はどうか
- 最低件数や最低月額があるか、少ない件数でも使えるか
- 締め日や急な変更への対応、問い合わせへの返事の速さ
任せることの弱みとして、社内にやり方が残りにくいこと、急な変更に即応しにくいことがあります。任せている作業の手順を文書にしてもらい、毎月の締め日と受け渡しの期限を最初に決めておくと、こうした心配はかなり減らせます。
SESのように毎月金額が変わる請求を任せるとき
一般の請求書作成代行が主に想定しているのは、毎月同じ金額の請求や、販売の記録からそのまま作れる請求です。SESの請求は、エンジニアごとに月額が決まっていても、毎月の稼働時間によって超過・控除が出て、月の途中の入場・退場で日割りが入るので、毎月金額が変わります。金額を決めるために、注文書の精算条件と稼働表の両方を読み合わせる必要があるのが、一般の請求書と大きく違うところです。
こうした請求を任せるときは、次の点を確かめておきます。
| 確かめること | なぜ要るか |
|---|---|
| 精算幅、上下割・中間割、精算単位、端数処理を契約ごとに扱えるか | 同じお客様先でも要員ごとに条件が違うことがある |
| 月途中の入場・退場の日割り(営業日か暦日か)に対応できるか | 日割りのやり方は契約ごとに違う |
| 稼働表の受け渡し方と期限 | 稼働表がそろわないと請求書が作れない |
| 稼働表が届いていない要員を知らせてくれるか | 1人分の遅れで請求書全体が止まる |
| 単価変更・入場・終了をどう伝えるか | 古い単価のまま請求するミスを防ぐ |
| BPやフリーランスから届く請求書の照合まで頼めるか | 支払う側の金額も、同じ稼働表から確かめる必要がある |
| お客様先の書式・送り先の指定に合わせられるか | お客様先ごとに書式や提出方法の指定がある |
| 締め後の稼働表の修正にどう対応するか | 作り直しが毎月のように出る |
精算の計算そのものは → SESの精算幅、請求書の書き方は → SESの請求書、BPとの毎月のやり取りは → SESのBP で詳しく書いています。
社長の方からよく伺うお話で、以前は請求書と注文書の作成に月2〜3万円を払って外に出していたという会社もあれば、事務の担当者が月に50〜60時間かけて請求と周りの事務をこなしている会社もあります。事務が担当の1人に頼りきりで、その人が辞めたら社長が自分でやるしかない、という声もよく伺います。請求書や注文書のフォルダへの格納が遅れると、週末にまとめてやっている会計の作業が1週間止まってしまう、というお話もあります。取引先から届く提出書類の読み解きに2時間かかった、ということもあるそうです。
外に任せるかどうかを考えるときは、今その作業にかかっている時間と、その時間を営業や採用に回したときに何ができるかを並べてみると判断しやすくなります。社内の担当者の時給で換算するだけでなく、社長自身が月末月初に何日ふさがっているかも数えてみてください。契約の扱いや税金の判断で迷う点は、個別の事情で答えが変わるので、税理士などの専門家に確認してください。
SESの請求事務を任せたいとき
RY consulting は、SES企業の請求事務だけを引き受けています。お客様先への請求書を御社の書式で作ること、BPやフリーランスから届く請求書を照合して相違があるものだけをお知らせすること、稼働表の提出状況を営業担当ごとにお知らせすること、月に一度、入場・終了・単価変更の確認事項を伺うことが仕事です。御社にお願いするのは、稼働表と請求書を共有フォルダに入れていただくことと、月1回の確認事項へのご回答だけです。月額はエンジニア10名まで50,000円、11〜20名70,000円、21〜30名90,000円、31名以上は個別のお見積りで、初期費用は100,000円です(いずれも税別)。契約期間の縛りはなく、最短3営業日で作業を始められます。毎月金額の変わるSESの請求を任せられる先を探しているなら、まずは15分で相談してください。
出典
- 国税庁「インボイス制度の概要」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_about.htm
- 国税庁 インボイスQ&A 問57 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/57.pdf
- 国税庁「電子取引データの保存方法」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023011-012.pdf
- 楽楽明細 料金 https://www.rakurakumeisai.jp/price/
- i-STAFF 料金 https://www.i-staff.jp/
- Paid https://paid.jp/
- マネーフォワード掛け払い 料金 https://biz.moneyforward.com/kakebarai/price/