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SESのBPとは?開拓の流れと取引開始後の毎月の事務

SESのBPとは

SESのBP(ビジネスパートナー)とは、自社だけでは足りない案件や人材を、互いに紹介し合って補う同業のSES会社やフリーランスのことです。「協力会社」「パートナー企業」とも呼ばれます。お客様先から来た案件に自社のエンジニアだけでは人数やスキルが足りないとき、BPのエンジニアを提案して参画してもらい、逆に自社のエンジニアの次の現場をBPの案件で探すこともあります。

SESの案件は、元請けのSIerから一次、二次のSES会社へと何段かに分かれて流れていく形で成り立っています。自社から見て、案件をくれる側も、人材を出してくれる側も、どちらもBPと呼ばれるのが普通です。

呼び方自社との関係主なやり取り
上位(案件を持っている側)自社が人材を出す先自社が注文を受け、請求書を出す
下位(人材を持っている側)自社に人材を出してくれる先自社が注文を出し、請求書を受け取って支払う
フリーランス個人として自社と契約する技術者自社が注文を出し、請求書を受け取って支払う

商流の段とマージンの話は → SESの商流 で書いています。

BPを開拓する理由

SESの会社がBPを増やす理由は、案件と人材の両方を切らさないためです。経済産業省の資料では、IT人材の不足は2030年に約79万人まで広がると予測されていて(出典:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」2016年6月)、自社の採用だけで必要なスキルと人数をそろえ続けるのは簡単ではありません。

案件ごとに求められる言語や工程、人数は違います。自社だけでは案件が重なる時期に人が足りず、少ない時期には待機が出ます。BPがいれば足りない分を補えるので、お客様先に「今回は出せません」と答える回数が減り、取引が別の会社に流れるのを防げます。自社のエンジニアの現場が終わるときも、BPの案件があれば待機の期間を短くできます。待機の費用は → SESの待機 で書いています。

BPを開拓する順番

BPは数を増やすより、まず少数の会社と深く付き合う方が成果につながります。初めは案件と人材の両方を扱っている会社を優先し、5社ほどに絞ってやり取りを重ね、提案や成約の実績を積んでから広げていく進め方が確実です。

注力する相手を選ぶときは、自社の案件とBPのエンジニアのスキルが近いか、情報を送ったときの返事の速さ、リモートや常駐などの条件の柔軟さ、過去の提案の実績を見ます。反応が薄いまま長く提案のない相手は、連絡の頻度を見直します。商流が深くなりすぎると、間に入る会社の分だけエンジニアに払える単価が下がり、条件の交渉もしにくくなるので、相手が商流のどの位置にいるかも確かめておきます。

挨拶から初取引までの流れ

BPとの取引は、挨拶のメールから始まって、情報交換、口座開設(基本契約・NDA)を経て、最初の1件が決まるまでに数か月かかるのが普通です。

段階やること期間の目安
候補を挙げる得意分野、案件型か人材型か、商流の位置、連絡先を一覧にする1〜2週間
挨拶メールや問い合わせフォームで自社の強みと今ほしいものを伝える返事まで1〜2週間
情報交換30分ほど話し、得意分野、空いている人、埋めたい案件を聞く返事から1〜3週間
情報の送り合い案件・人材の情報を送り合う1〜2か月
口座開設相手の審査を受け、基本契約とNDAを結ぶ1〜4週間
初取引スキルシートで提案し、面談を経て決まる提案から2〜4週間

期間はあくまで目安で、相手の会社の審査や案件の状況で前後します。

挨拶のメールは、自社のエンジニア数、得意な分野、今募集しているスキル、情報交換の候補日を短く書きます。宣伝を含むメールは特定電子メール法の対象になりえるので、送信者の名前や住所、受信を断るときの連絡先を入れ、相手のホームページに「営業メールお断り」とあれば送りません。相手の会社が実在するかは、国税庁の法人番号公表サイトで調べられます。

情報交換のあとは、次の営業日までに相手の得意分野に合う案件か人材を1件送ると、関係が続きやすくなります。お礼だけで終わると、そのまま連絡が途切れやすいものです。

基本契約とNDA

口座開設とは、相手の社内で取引先として登録してもらう手続きで、会社の審査と契約書の締結が含まれます。結ぶ契約は主に2つです。

契約何を決めるか
基本契約書(業務委託基本契約)支払い、解約、秘密保持、再委託、損害賠償など、取引全体に共通するルール
NDA(秘密保持契約)受け取った案件情報や人材情報を他に漏らさない約束

案件ごとの単価、期間、精算幅などは、基本契約とは別に、個別契約書や注文書で決めます。審査には会社概要、履歴事項全部証明書、相手の指定する取引開始の申請書などを求められることが多く、決算書の提出を求める会社もあります。審査に数週間かかることがあるので、提案が決まる前に口座開設を進めておくと、決まったときに参画の日がずれません。

スキルシートにはエンジニアの経歴という個人情報が含まれるため、本人の同意を取り、NDAを結んでから送るのが基本です。契約書で確かめておきたい条文は → SES契約書 にまとめています。

BPとの付き合い方のルール

BPとの関係は、紹介し合う情報の質と速さで決まります。毎日の動きでは、次のことを守ります。

  • 相手の得意分野に合う案件・人材だけを送り、単価、場所、開始日、商流の条件を毎回同じ順で書く
  • 提案の結果は、決まらなかったときも理由をつけて早めに返す
  • 再委託できる範囲(貴社社員まで、1社先まで など)を案件の情報にはっきり書く
  • 情報交換のあと最初の1か月は、週に1回ほど具体的な情報を送る
  • 支払いの条件や再委託の可否は、口頭で済ませず書面に残す
  • 指揮命令の経路を決めておき、お客様先やBPがエンジニアに直接指示しない形を守る

フリーランスのエンジニアは何社かのエージェントやSES会社に登録していて、案件を早く出したところで決まるスピードの勝負だ、という声をよく伺います。協力的なパートナーが10人ほどいたのに、長く待たせているうちに他社で決まってしまい、1〜2人まで減ってしまった、という社長の方からのお話もあります。待たせる期間が長いと、相手は他の会社の案件を先に決めてしまうので、返事の早さがそのまま信頼になります。

社員であることが条件の案件にフリーランスの方が決まりそうになり、在籍の確認をどうするか迷う、というお話も伺います。案件の条件に合わない形で人を出すのは後で問題になりやすいので、条件は提案の前に確かめます。

取引が始まった後の毎月のやり取り

BPとの取引が始まると、毎月の事務が始まります。BPから人を出してもらっている場合、1人につき毎月、次の書類が行き来します。

時期書類流れ確かめること
契約時・更新時注文書・注文請書自社 → BP(注文書)、BP → 自社(注文請書)期間、単価、精算幅、割り方、支払期日
月末稼働表(作業報告書)BPのエンジニア → BP → 自社 → お客様先時間、お客様先の確認が済んでいるか
月初BPからの請求書BP → 自社稼働表、注文書、お客様先への請求との一致
支払期日振込自社 → BP期日、金額、振込先

注文書

SESの契約は3か月ごとなどの短い期間で更新することが多く、更新のたびに注文書を出し直します。単価が変わったときや、お客様先との条件が変わったときも同じです。人数が増えると、どの要員のどの期間の注文書が最新なのかを一覧で持っておかないと、古い単価で請求書を受け取ったり払ったりしてしまいます。

稼働表

稼働表は、お客様先への請求とBPへの支払いの両方の根拠になります。BPのエンジニアの稼働表が届かないと、お客様先への請求書も出せません。月末が近づいたら、まだ届いていない要員を営業担当ごとに確かめて、催促の連絡を早めに入れておくと、月初の請求が止まりません。

BPからの請求書の照合

BPから届いた請求書は、そのまま払わずに、次の点を照らし合わせます。

  • 対象月と要員の名前
  • 月額が最新の注文書どおりか
  • 稼働時間が稼働表と一致しているか
  • 精算幅、割り方、精算単位、端数処理が注文書どおりか
  • 交通費などの実費が契約で認めたものか
  • お客様先への請求で使った時間と同じか
  • 登録番号が正しいか(国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで確かめられる)
  • 税率と消費税額

誤りが見つかったら、自社で金額を書き換えずに、訂正した請求書を出し直してもらいます。お客様先が超過分を払わなかったことを理由にBPへの支払いを勝手に減らすのは、取引の条件によっては問題になるので注意が必要です。お客様先とBPで精算幅や割り方が違うと、同じ稼働時間でも請求額と支払額の差が月ごとに動きます。計算の例は → SESの精算幅 に載せています。

支払い

支払期日は基本契約と注文書で決めます。2026年1月1日から施行された取適法(改正下請法)の対象になる取引では、手形での支払いが禁止され、受け取った日から60日以内の支払期日までに満額を受け取れない支払い方法は使えなくなりました(出典:経済産業省・公正取引委員会の発表)。フリーランスに業務を委託する場合は、フリーランス法により、原則として給付を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間で支払期日を定めます。再委託であることなどを明示した場合は、元の委託の支払期日から30日以内で定めることができます(出典:厚生労働省 兵庫労働局の資料)。どの取引がどの法律の対象になるかは、会社の規模や取引の中身で変わるので、個別の判断は専門家に確認してください。

BPが増えるほど事務が増える

BPが1社増えるごとに、注文書、稼働表、請求書、支払いの組がその人数分増えます。お客様先への請求は自社が作る書類ですが、BPからの請求書は相手ごとに書式も届き方もばらばらで、PDFの添付で届く会社もあれば、URLからダウンロードする会社もあります。支払いが早く、事務がきちんとしている会社は、BPから見て付き合いやすい相手になります。営業がBPを開拓するほど、月初の照合と支払いの手間が積み上がるので、開拓と同じ早さで毎月の事務の段取りを整えておくことが、BPとの関係を長く続けることにつながります。

請求書そのものの書き方は → SESの請求書 で、会社の中の体制は → SES会社 で書いています。

BPとの毎月の請求事務を任せたいとき

RY consulting は、SES企業の請求事務だけを引き受けています。お客様先への請求書を御社の書式で作ること、BPやフリーランスから届く請求書を照合して相違があるものだけをお知らせすること、稼働表の提出状況を営業担当ごとにお知らせすること、月に一度、入場・終了・単価変更の確認事項を伺うことが仕事です。御社にお願いするのは、稼働表と請求書を共有フォルダに入れていただくことと、月1回の確認事項へのご回答だけです。月額はエンジニア10名まで50,000円、11〜20名70,000円、21〜30名90,000円、31名以上は個別のお見積りで、初期費用は100,000円です(いずれも税別)。契約期間の縛りはなく、最短3営業日で作業を始められます。BPが増えて月初の照合が追いつかなくなってきたら、まずは15分で相談してください。

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